クリーニング

ピアノは年月が経つにつれて、表面の塗装や鍵盤に汚れが付着したり、チューニングピンやピアノ弦、エンブレムやペダルなどの金属類が錆びてきたり、ピアノの内外にほこりがたまっていきます。
これらはこのまま放っておくと、ピアノが痛んでしまいます。 特に長く使われていないピアノなどは、他にも小さな虫やネズミなどが入り込み、内部の部品を使えない状態にしてしまうこともあります。
これは置かれている環境によっても異なりますが、多くの場合ピアノを購入されてから大体20年前後でこのような状態になりやすくなりますので、いちど内部のチェックも兼ねて、ピアノ表面の汚れや金属の錆を落とし、ほこりを取り除いてあげることが大事になります。

ペダルbefore
ペダルafter

また、ピアノの塗装には大きくわけて3つの種類があります。

一つ目は、もっともよくみる「艶あり」の塗装です。 この塗装は長く使っていると、もともと艶がある部分に様々な汚れが付着して艶がなくなってきたり、手触りもざらついた状態になってしまいます。
この場合は、まず塗装面に付着した汚れを落としてから磨きあげることにより、手触りもなめらかで艶のある以前のような状態に近づけることができます。

二つ目は、木目のピアノによくある「半艶」と呼ばれる塗装です。これは一つ目の塗装と違い、少し落ち着いた艶感のある塗装になります。
こちらも同じく塗装面に付着した汚れを落としてから磨いていくのですが、半艶の塗装の場合はあまり磨いてしまうと艶の感じが強くなってしまうため、注意が必要です。 艶ありの塗装とは違い、しっとりとした手触りの状態に仕上がります。

三つ目は、「艶消し」という半艶と同じく木目のピアノに多く使われている塗装で、木のぬくもりをもっとも感じられる塗装になっています。
この塗装に関しては、汚れを落とすことはできますが、磨いてしまうと艶がでてしまうため、艶あり、半艶の塗装のピアノと比べると変化を感じづらいかもしれません。

塗面before
塗面after

次に金属部分ですが、エンブレムやペダルなど多くの部品には真鍮が使われています。 これは年月が経つことにより、錆びが生じて色が変わり、表面もざらざらとしたものになっていきます。
これらの錆を専用の薬剤などを使って落とし、磨き上げます。 そうすることにより、以前のような光沢のあるなめらかな状態へと戻ります。
また、チューニングピンやピアノ弦も置かれている環境や年月の経過により錆びてきてしまいます。 このままの状態で使っていくとピアノ弦が切れやすくなったり、付着した錆が演奏の際に雑音になる場合もあります。
これを予防するためにも、全体で約230本前後あるチューピングピンとピアノ弦を一本一本磨いて錆を落としていきます。 これによりピアノ弦の錆による雑音もなくなります。

弦ピン磨き

鍵盤部分に関しては、まず白鍵や黒鍵に艶があるかどうかをみるところから始めます。 白鍵、黒鍵ともに艶があり触った感じがつるつるとしている場合、この多くはアクリルやベークライトと呼ばれる素材が使われています。
逆に艶がなく少しざらざらとした手触りの場合は、白鍵の場合は象牙、もしくは人工象牙、黒鍵の場合は黒檀などを使っている場合が多いです。
象牙の場合は中音部分の黄ばみが濃く、低音、高音部分にいくにつれて黄ばみが薄くなってきていることが多いので、わかりやすいかもしれません。
また、アクリルやベークライト素材に関しては、磨きあげることにより艶がもどりつるつるとした状態に近づけることができますが、象牙などの場合はただ磨くだけでは黄ばみを落とすことができないため、別途漂白などの作業が必要になってきます。

他にも、アルコールの含まれたもので鍵盤を拭いたりすると、ひび割れや素材の変質などにつながるため気を付ける必要があります。

最後に、ピアノの内外には年数が経つにつれてほこりがたまっていくのですが、これはキーカバーやトップカバーなどを使っていても、鍵盤蓋や鍵盤の隙間、ピアノの背面などいろいろな場所から入りこんでしまうため、完全には防ぐことができません。
鍵盤の隙間や内部の部品にほこりがたまっていくと、鍵盤が戻りづらくなったり、内部の部品が動きづらくなり音がでなくなったりと、弾きづらさを感じてしまう場合もあります。
特にピアノに消音機能(サイレント)や自動演奏などの機械が取り付けられている場合は、内部にほこりが入り込むことによってそれが故障の原因にもなります。
これらを予防するためにも、掃除機やエアーコンプレッサーなどで、普段は掃除することができない弦の裏側や、鍵盤の下、ピアノの背面などを隅々までキレイにします。

このように、ピアノによってクリーニングのやり方は異なりますので、それぞれのピアノにあった工程、作業をすることが大切になってきます。
また、クリーニング後も定期的にそのピアノにあったお手入れをしてあげることで、長くよりよい状態を保つことができます。

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